
ricochet
@ricochet
2025年4月8日

わたしが行ったさびしい町
松浦寿輝
読み終わった
内容はタイトルそのまま。筆者が訪れたことのある、さびしい、つまりごくふつうの町について、記憶の海からすくいあげるように綴られている。内省的かつ散文的な文章が時にその町の心象の中に沈みこんでいく、距離感の揺らぎがなんだか心地いい。自分もこれまでのさびしい町の記憶がぽつぽつと蘇るようだった。
日常生活では雑事にかまけて紛れているだけで、人の世の底には常にさびしさが流れていて、旅の途上ではそれと純粋に向き合えるのだ、という意見にはしみじみ同感。

