
kake
@kake_06
2026年9月10日
天と地の守り人 第三部(新ヨゴ皇国編)
上橋菜穂子
読み終わった
第二部に続き第三部。
故国を救うため最終決戦に挑む皇子チャグムと、戦禍で瀕死の重傷を負ったタンダを必死に救い出そうとする用心棒バルサの、それぞれの過酷な運命と決着を描く。
まずはついに物語が終わった、、という感想。と言うのも、高校生から読み始めて今は社会人、約10年かけてゆっくり読んできた故の感想だと思う。
まず、トッカサム(新ヨゴ)が勝てると踏んで作った布陣が、シュバル(タルシュ)から見れば古い戦術書そのものであり、呆れていた。200年戦争をしてこなかった新ヨゴと戦争と発展を続けてきたタルシュとの差が浮き彫りに。
次に、長いこと交易の街として四路街すらも新ヨゴ軍に見捨てられ、焼かれてしまう。この描写は今回の戦争の悲惨さ、新ヨゴの追い詰められ具合がわかる。
→自分達が守れる範囲外は有益であろうと捨てる
次に、相場より高い値で買うタルシュと、当たり前のように金を払わず米を徴収する新ヨゴの対比。農民から見ると生活の足しにしてくれるタルシュが正義にも見え、正義の定義があやふやになっていく。
タンダは生きていたが、壊疽する前にバルサが腕を切り落とす場面は、この戦争の悲惨さと新ヨゴの決断の愚かさを増していく。
「そなたは、そなたの道を行くがいい」
帝はラドウのような権力を欲する気持ちで帝位を守っているのではなく、ただ天子であり続けているだけ。国は自分自身であり、祖先から続いてきた天子のあり方を全うする。タイトルのように、天の子としての人生を生きる父と、地にまみれ死臭を纏いながらも地を這って生きていく子を示している。
最後に、バルサとタンダの穏やかな日常が描かれ、2人の関係に名前がついたことやバルサの生活が落ち着いたことに癒された。チャグムはバルサとはもう会わない気もするが、会って欲しいと願うし、外伝で触れて欲しいとも思ってしまう。