うしみつや "ブラッド・クルーズ 下" 2026年9月6日

ブラッド・クルーズ 下
ブラッド・クルーズ 下
マッツ・ストランベリ,
北綾子
上巻に引き続き、下巻は上巻のじっくり煮詰める人間ドラマパートが急転し、嘘のようにごろごろ人が死ぬ。ネタバレになるので多くは語らないが、上巻で十分に思い入れを持っていた人物たちにふりかかる苦難の数々にやめてよ!!!になった。中でも船の治安維持が仕事の警備員・ピアのことは本当に好きになった。他にも地味に、自他共にリーダー向きではないとわかっているのに最高責任者の任を追わされる男、さりげない描かれ方だがトラブル発生時の現場を思うと胃が痛くなって、心底落ちこんだ。 あとこの作品、とにかく止めの文章がかっこいい。上巻でも節々に兆候はありましたが、下巻に入ってキレの鋭さが増している。吸血鬼に変化するときの「口を引き結ぶ。痛みでうめく。生まれ変わるには苦しみが伴う。」とか、船目線で俯瞰したときに出る「しかし、この映画の主役は自分ではないということが彼らにはわかっていない。そもそも主役などいない。すべてはカリスマ号を中心にまわっている。」とか、段落の止めとして置く文章が本当に、難しい単語を並べずとも鋭くきまっていて、私のKindleはハイライトだらけになった。パニックホラーでこんなに美しい文を乱発させること、できるんだ。電子で読みましたが紙で売っていたら買い直すと思う。
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