Jenの日常 "星の王子さま (中公文庫 サ..." 2026年5月15日

星の王子さま (中公文庫 サ 7-1)
星の王子さま (中公文庫 サ 7-1)
サンテグジュペリ,
小島俊明
名著として有名なのに、個人的にはなかなか読み通すことができなかったこの本。 物語としては、2、3時間あれば読める程度のボリュームにもかかわらず、様々な翻訳者がいて、それぞれ少しずつニュアンスが異なる。そして何より物語がとても抽象的で幾通りもの解釈ができる。それだけで既にもうワクワクする。 でも実は初めてこの本を手に取った10代の頃、最初の何行かを読んで「エエ話書いとくから、ちゃんとキャッチしてや!」的な空気を感じ、「しゃらくせえ!」と思って挫折した。 でも大人になった今、様々な星の住人の描写があるある過ぎてスラスラ読めた。 そして特に後半の展開の畳み掛けてくるような濃厚さなど、全体的な物語の濃淡の偏りや、愛や死が絡んでくるあたりに日本人作家にはないバランス感覚やフランスっぽさ感じ、作者の人生にも興味がわいてくる。 なぜ王様でなく王子さまなのか、王子さまの序盤と終盤の成熟度の違いなど、物語は「大人であること」について色々問いかけてくる。 良くも悪くも色んな人に出会い、色んな経験をし、そのおかげで、色んな視点に出会う。大人と子どもを日々刻々と行き来する時間を重ねる中で、いつの間にか読めなかった物語を読めるようになる。これもまた、年を重ねたことによる一つの変化なのかもしれない。 初見、私は自身の内面の内なる子どもとの対話を通してそれらと統合していく「こころの話」として解釈した。 これってきっと、私の初見のタイミングが大人になってからだったからかもしれない。なぜなら、本物の子どもが「内なる子ども」なんて意識するはずだから。そう思うと、個々の捉え方の違いの差が興味深く思えてくる。 「星の王子さま」は本当に色んな読み方を秘めている。SFとしても面白いし、訳者の異なるバージョンを読み比べても面白そう。他にもキツネ、バラ、ヘビ、井戸、活火山、休火山、箱など、物語に出てくる様々なモチーフをメタファーとして捉えて、ユング的に読み解くのも絶対楽しいと思う。 こんなに多面的なら何回でも読めるし、そりゃ名著と呼ばれるはずだと納得がいく。今改めて、この物語の豊かさに圧倒されている。
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