森本羊 "夜しか泳げなかった" 2026年9月26日

森本羊
森本羊
@morimoto_sheep
2026年9月26日
夜しか泳げなかった
ある物語に古傷を抉られ、その傷口に向き合っていくような話。 主人公の卯之原は作家・ルリツグミに「物語を盗まれた」と殺意すら抱く教師。序盤は過激に思えるけれど、読み進めるにつれそう思う性格になる過程も読み取れるからつまされた。こういうタイプの主人公なのに、メンタルクリニックの受診を検討し、本当に受診したらしいところがなんか好きだった。 もうひとりの主役である作家・ルリツグミこと妻鳥は、等身大の純粋な少年だという印象だった。美しい物語を信じて、卯之原と仲良くなれると疑わない素直さと、そうでなかったとむくれる態度が子供らしくて、読めば読むほど好きになっていった。 彼らに好感を持つほどに、序盤に出てきた教師の阿久津や田波のことはクソだな〜と思うなどした。 本当の結末に辿り着き、卯之原が泣いて笑えるようになって良かった。美しい物語も、歪で痛々しい話も、どちらも必要なときがあるのだと思う。
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