
あおい
@booklover_aoi
2026年9月25日

夏の陰
岩井圭也
読み終わった
Kindle Unlimited
@ 自宅
『永遠についての証明』で気になって読んでみました。
人を描くのがとてもうまいな、と思いました。
ポジティブな面だけではなく、ネガティブな面もしっかり描写していて、それが作品に必要な要素になっていると感じました。
殺人犯の子どもと、被害者の子ども、どちらにも苦悩があって、周りの人たちのやさしさ、冷たさ、色んなものが混ざり合った状態で物語が進んでいく。
前半は岳の視点で物語が進みますが、父親から日頃より肉体的、精神的な暴力を受けていたのに、立てこもっていて二人きりになったわずかな時間に、父親の違う一面を見て、その後の行動につながったこと。
一見「あれだけ酷い目に遭わされているのになぜ」と思うと思うのですが、極限状態であったこと、親の良い面を信じたい思いがあること、様々な要因が絡み合った結果なのだと思いました。
そのあたりの心理描写が、そこまで細かくないのに伝わるのが岩井さんの技量なのだなと。
剣道のルールを知らなくても引き込まれる文章で、武道経験者なのもあって試合前の空気や、試合中の集中した感覚を重ねて読んでいました。
エピローグも書き方によっては蛇足になりそうだけど、私はこの話をこの書き方で書いてくれたことで物語に救いがあったなと感じられました。
情けは人のためならずという言葉を思い出しました。
読み終わってからも色々と考えさせられる作品でした。
『永遠についての証明』もですが、辛い箇所がまあまあしんどいので、受け止められる時に読むのをお勧めします。