
🐟
@mikanz
2026年9月26日

風俗小説論 (講談社文芸文庫)
中村光夫
読み終わった
風俗小説論とは言うものの、「風俗小説」に直接的に言及しているのは後半だけで、『蒲団』以来の私小説批判に主眼が置かれている。基本的に平野謙の史観を引き継いでいる。私小説の誕生によるリアリズムの歪みが、風俗小説(丹羽文雄)まで尾を引いているという主張にはすんなり納得できた。
ただ、「近代文学史」を自明視するところから論が出発しているので、柄谷の『日本近代文学の起源』を知ったあとだと、まずその概念の前提を問い直すことに価値があると思った。それと、中村は小林の「私小説論」に影響されてこの評論を書いたそうだけど、私小説を近代文学の枠組みの中で考える中村の立場は、プロ文以前に「近代」の成立を認めない小林のそれとは異なるという気がした。