くらぱ "新版 ナチズムとユダヤ人 ア..." 2026年9月27日

くらぱ
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@reads_MS
2026年9月27日
新版 ナチズムとユダヤ人 アイヒマンの人間像
ユダヤ人虐殺の背景を、民族・宗教史を含め理解できる。 読むのにすごく時間がかかってしまった。ユダヤ教やその民族、国家の史実を全く知らないし、読み飛ばすことなく文字を辿ったけれどその詳細については半分も理解できていないかもしれない。 それほどに、アイヒマンという人物をただ悪の権化として語るのでなく、全体主義や国家に蔓延するニヒリズムが、いかに凡庸な者さえもを徹底的な悪たらしめてしまうのかということを丁寧に示している。 前半は、各強制収容所で実際に行われていた残虐な行為が生存者の口から語られる。この部分を読んでいるときは、折り重なる屍体の山や、それを掘り返して金歯をむしりとったり、火にかけたりしないといけない恐怖が寝る直前に思い返された。 (それでもぐっすり眠れるのはどういうことだろう) 中盤にはユダヤ教の歴史と民族的な背景の説明。はっきりいって宗教を持たない日本人として、難解になりがちな点を非常に綺麗な文章で書いてくれていて、すごく読みやすく面白い。 日本人的な宗教観、自然=神への畏怖というのは、肥沃な土地に生まれたが故ともいえる。これは本書の本筋とは外れるけど、そういう背景を深く理解し考えて書かれた文章ということがよくわかる。 後半はアイヒマンがいかにして最終解決(ユダヤ人殺戮)に加担し、またその行動原理をどのように語ったかということが書かれている。 前半部分の恐怖は、ある意味で誠実すぎるくらいに信条的な理念によってもたらされていたことがわかる。 自分の名誉、それは忠誠である。 そんな絶対的な命令が頭上に瞬く一等星のように道を示していて、当時の彼にとってはその真理に背くことが悪だったんだ。 あの地獄をただの悲劇にして、涙や同情だけで冥福を祈ったつもりになっているようじゃ、いつまでたってもその内に未だ潜んでいる恐ろしい悪の素質に気づけない。 そういうことを理解しないといけないし、そうでなく常に悪を捌き善に加担していると信じてやまない人間は、いずれ同じ地獄を見ることになるだろうな。
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