
さつき@ハードカバー
@ai_sa_
2026年9月28日
自分以外全員他人
西村亨
読み終わった
この主人公が考えていることは、私が日頃考えていることとすごく似ている。そして私は、それを人には理解してもらえない感覚なのだと思っていた。だからこそ、この小説を書く人が日本のどこかにいて、それを評価する人がいて、読んで共感する人がいる。その事実に、すごく救われた心地がした。
私はこの小説を、優しさと怒り、そして他者との境界を描いた物語として読んだ。
優しさには、他者のための優しさと、自分のための優しさがあると思っている。前者は自分と他者との境界が曖昧だけれど、後者にはスッパリとした境界があるように思う。
主人公が持っているのは後者の優しさだ。
嫌な言い方をすると、他人を、自分が生きるため、そして心地よく過ごすための道具として見做している。おそらく、自覚なく。
ちなみに私も、あいにく後者しか持ち合わせていない。
怒りについても同様だ。
は
いわゆる「人にやられて嫌だったことを、自分も人にやる」ということを、自己嫌悪に陥りながらも主人公はやめられない。
自分が苦しいときには、自分の事情だけが大きく見える。自分を特別扱いしようとしているわけではないのに、結果として自分だけを例外視してしまう。
そこにも、他者との境界の強固さを感じた。
けれど、その強固な境界があるからこそ、「自分のつらさは誰にも理解されない」という悲しみも生まれる。
自分を守るための境界が、自分を孤立させてもいる。
文章は、主人公の感覚や思考を追体験するというより、淡々としていて、結論としての感情を突きつけられるような感じだった。
そのためか、主人公と自分がすごく似ているにもかかわらず感情移入がしづらく、読んでいる最中はそれが心地悪かった。
けれど、考えてみればそれも自然だ。
主人公と自分は、他人なのだから。
いい読書体験でした。