読書日和 "風の神のいたずら" 2026年9月28日

読書日和
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@miou-books
2026年9月28日
風の神のいたずら
風の神のいたずら
前野清太朗,
朱和之
大好きな「アジア文芸ライブラリー」から新刊が出ていた! ここの本が好きで、ちょっとずつ読み進めている。 朱和之さんの本は『南光』以来、2冊目。 日本統治時代の台湾に生まれた音楽家・江文也の生涯を描いた音楽小説。 台北・大稻埕で生まれ、幼少期を厦門で過ごし、13歳で日本(上田)へ渡る。その後、東京、北京へと住む場所を変えていく彼にとって、「故郷」とはいったいどこだったのだろう。 フィクションと断り書きはあるけれど、植民地時代の台湾から日本、そして大陸へ。激動の時代に翻弄されながらも、ひたすら音楽に情熱を注いだ芸術家の姿が、とても鮮やかに浮かび上がってくる。 自信にあふれていて、素直で、疑うことを知らず、周りからも愛されている。 読んでいるうちに、江文也という人がどんどん好きになっていった。 でも、戦争を経て、戦後は日本国籍を失い、日本へ帰ることもなく、複雑な時代の波にのみ込まれていく。 実際に彼が国際的な評価を得た『台湾舞曲』(1936年)や『孔廟大成楽章』、そして彼と競った伊福部昭の『日本狂詩曲』をYouTubeで探して、時々聴きながら読んだ。それぞれの土地や民族性、そして当時の時代の空気まで想像が広がって、なんとも不思議な読書体験だった。 特に、北京で老志誠と出会う場面の描写がとても美しかった。 北京の路地。日差しに照らされて揺らめく木々。どこからともなく聞こえてくる音楽。光景が、目の前に浮かぶようだった。 作中に出てくる唐詩も美しい。 『子夜春歌』や『琵琶行』。 当時の人たちは、こんな美しい詩を暗唱していたんだなぁ、と思う。 言葉の響きや表現の美しさに、改めてうっとり。 そして何より、朱和之さんが江文也という人物に惚れ込んでいるのが、読んでいてビシビシ伝わってくる。 私もすっかり江文也に惹き込まれて、一気読み。 音楽を聴き、詩を味わい、時代に思いを馳せる。とても幸せな読書の時間だった。 こうなると、未翻訳の『當太陽墜毀在哈因沙山』もやっぱり読みたくなる。 翻訳されますように。
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