回寅治 "アドルフに告ぐ 第1巻" 2026年9月29日

回寅治
回寅治
@Mawari_trahal
2026年9月29日
アドルフに告ぐ 第1巻
図書館で今日借りてきた。手塚治虫の画は白黒のアニメ鉄腕アトムでしか見たことがないので、初めて彼の漫画に触れた(むしろそちらの方が彼の本領)。 今読んだところまででは、戦前の日本とドイツに散りばめられた人物や事件や情勢が徐々につながっていく話かなと思う。話に登場する3人のアドルフのうち一番最初に言及されるのはヒトラー。彼の率いるナチ党が台頭する只中、日本人特派員の草平(そうへい)が不審死した弟の行方を追う。 人物が追いかけて追いかけられるシーンの、漫画としてのコマ割りの仕方や配置の仕方が非常に巧みだった。なぜ手塚治虫が漫画の神様と呼ばれるかがわかった気がする。 (以下たぶんなネタバレ) 本当にハラハラしながら読んで、映画を見るようなワクワク感があったのだけれど、途中でとても気落ちする瞬間があった。 弟の殺された原因がおそらく共産主義者の運動に「近づきすぎた」からで、そんな彼をSSに密告した女性がいる。彼女が彼の兄たる草平に接触するのだけど、途中でそれが草平にバレてしまうシーンがある。当然草平は怒るしなぜ弟を殺すのかと問い詰めて投げ飛ばしたり叩いたりと乱暴までするのだけど、ビンタと同列の行為としてなぜだかブラウスのボタンを乱雑に外していた。そんなふうに陵辱のきらいが出てきたあたりで嫌な予感はしたのだけど、女性が語れる範囲の真相を口にしてこれ以上どうしようもないというところでなぜだか(しかし案の定)2人が性行為をしだして、私はもう完全な謎に包まれてしまった。そこで、グレイソン・ペリー著「男らしさの終焉」で、「有害な男性性」のひとつとして「罰したい欲求」が紹介されていたのを思い出した。罰としての性行為。それを思い出し実例をみた気持ちになったことで、性嫌悪かもしれない私にとってかなり読後感はマシになった気がする。反戦や人種差別反対の点では一致するのかもしれないけれど、その反面身体の自治権やジェンダーなどの分野においては時代の限界があるのだろうなと思ったりした。 面白くはあるので読み進めようと思う。
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