都麦 "シーズ・レイン" 2025年4月9日

都麦
都麦
@tsumugiterao
2025年4月9日
シーズ・レイン
ハタチの夏から憧れ続けていた一冊。書店もネットもどこにも売っていなくて、2023年の4月に目黒川沿いの本屋で見つけて、まだ初任給も出ていないのにプレミア価格で即購入した。読むなら絶対に雨の日に休憩を入れることなく読み切りたくて、ずっと本棚のいちばん真ん中に待機させ続けて2年弱。今日は1人、我が家のふわもこ犬はトリミング。そして久しぶりの雨。ファミレス快適認定研究所設立の原点とも言える駅前のデニーズにおひとり様入店。時は来たり。ハムの盛り合わせと味噌汁で挑んだその内容は、まさかの、微妙……! 何が微妙と感じたのだろうか。おそらくそれは、時代とともに気づけるようになった価値観の問題なのだと思う。“僕”の文章からあまりに自己陶酔を感じすぎて、冷めてしまった。 憧れてから4年だもんな、きっと4年前に読んでいたらバイブルになっていただろうな。けどこの4年間でいろんな本や映画と出会って、僕はフェミニストになった。だからこの本のあらゆる場面に、モヤっとしてしまうことがあった。だからナルシズムを受け入れられなかった。今の価値観でひと昔前を測るのはナンセンスだというのもあるけれど、だからと言って今を生きている僕はこの本を絶賛できない。タイミングってあるよね。でも偶然なのかこの本は「タイミングってあったんだね」ということを話していた本な気もする。人は時間の流れとともに変わっていくし、少年はいつかPOPEYEを卒業する。けれど今も昔も、すべての瞬間で人は弱くて脆くて面白いし、今も昔も、神戸はずっと良い街だ。そういう本だった。
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