
mrn
@itoshinamoon
2026年9月30日
ファイア・ドーム(上)
辻村深月
読み終わった
発売当時から気になってはいたけど買ってなくて、急に読みたい!って思って買った本。積読しがちな私にしては珍しく、買ったその日にすぐ読んだ。
(以下、本文より引用)
噂が広まるその過程には明確な「悪意」と呼べるものがない。だからこそ、質が悪い。
自分もその噂を言い立てていた一人だという自覚もなく、ああ、噂はデマだったのか、と記事を読んで、ただおしまいになる。噂を広めた責任を取ることも、罪悪感を持つこともなく。
悪意ではない。そこにはただ、信じられないほどの軽薄さがあるだけだ。
まだ上巻しか読んでないけど、現代の日本を表してるなー、と。何かの事件があったら心を痛めている被害者の家族やその周りの人たちを平気で批判し、実はあの人が犯人なんじゃない?と刑事気取りで面白がる世間。事実をねじ曲げたマスコミの報道、閲覧数を稼ぎたいがための釣りタイトル。何が真実かもわからないのに誹謗中傷し続ける第三者。あとになってそれが嘘の情報だったとわかってもただコメントを消して終わり。自分が発した言葉で誰かを傷つけたことも噂を広めたこともなかったことにはできないのに、そこまで考えずに精査もせずに情報に踊らされてしまう。こういう所もネット社会の今を表しているようだった。
AIが進歩した今、フェイク画像・フェイク動画は誰でも簡単に作れるから、より情報の取捨選択をしないといけないよね。真実は当事者にしかわからないんだし、私はあふれた情報や噂に惑わされないように気をつけたいと思った。
Xの暴露アカウントがもらった情報を精査せずに、デマを拡散させてるのとかタチ悪いよね。他人の人生を傷つけて、いいねや閲覧数を増やして自分の承認欲求を満たしてるの気持ち悪すぎる。
(以下、本文から引用)
ひとたび問題が起こった時、人はそれまでに日常的にしていた、その日常を失い、時にその行動が責められる対象になるのだ。
美冬の気持ちになって読んでいるとイライラが止まらなかった。本当は違うのに、ここまで大きくなった噂は今更声をあげたって届かない。その悲しさとか諦めの気持ちが伝わってきて、苦しくなった。
鍼灸院の院長先生も悪気はなく、"聞かれたから答えた"だけで、その結果美冬が傷つくことまでは考えてなかったんだな、と。美冬は信頼してたからこそ裏切られたような気持ちになってつらかっただろうなってめちゃくちゃ感情移入してしまった。洸太郎くんの家族が美冬のことを責めなかったのが唯一の救いだった。
それにしても上巻の終わり方が怖かった⋯。下巻も読み進めます。