
あんどん書房
@andn
2026年9月30日

鳥たちの素敵な名前の物語
大橋弘一
鳥名の語源を古事記や日本書紀、万葉集といった古典から近代の図譜までを紐解いて解説。
著者は写真家の方なので、写真が全て自前なのがすごい。ナナカマドを食べている小鳥たちがかわよい。特にライチョウの親子と桜のヒヨドリ、癒し。
スズメとかカラスとか、鳴き声+鳥の接尾辞なんだな(スズメの鳴き声は「シュシュ」だったらしい)。
カイツブリの「掻く+ズブリ(入水音)」という説も面白い。昔の人ってかなり生態を観察して名付けていたんだなあ。
ユリカモメとミヤコドリの話はやっぱり出てきた。古典と鳥を語る上で欠かせないネタなのだ。
雷鳥は「霊鳥」らしい。そりゃ霊山にいたら神々しいわ。暴れん坊将軍こと8代吉宗が捕まえてこさせた雷鳥はどうなったのか…。
語源の出典として古典の鳥類図鑑(「禽譜」というのが鳥類図鑑のことらしい)や『大言海』などを比較検討していて、それぞれ信用できる箇所があったりなかったりするのが面白い。
ヨシゴイの章では、本来ヨシゴイサギとなるところが「ヨシ」という接頭辞がついたため接尾辞の「サギ」が略される(他にも「ヒメイソヒヨ」など)という法則が紹介されており、言語学の勉強にもなる。
ウソの章では、古語における嘯=口笛のことで、つまり嘯くとは口笛を吹くことなのだという解説がためになった。確かにうそぶくって言うと口笛吹いてしらばっくれみたいなイメージがあるわ。それは本来の意味から来ていたのか。
モズは仁徳天皇のエピソードや「モズの借金」、鳴き声に由来する「百舌鳥」表記など話題に富んでいて面白い。
ツミの章では「大鷹狩」と「小鷹狩」についての話があり、古文化についての勉強にもなる。
チュウヒの語源ははっきりと確定していないが(中型の昼の鷹説が推されている)、最後に触れられているノスリの別名がひどい。ネズミしか獲らず狩に使えないから「くそとび」とか漢字で「鵟」とか…。
トビ。神武天皇の絵に描かれているのは鳶なんだって。
アカショウビン。前に鳥展を見た時「カワセミって翡翠なんだ〜」みたいなということを知ったがことを思い出す。語源としてはカワセミの古語「そび」が「しょび」→「しょうびん」と「せび」→「せみ」になったので、元を辿れば同じなのだとか。そんな長くなることもあるんだなぁ。
しかも「そにとり」のそ丹は赤色絵の具で、翡=緋色なのでカワセミよりアカショウビン起源説だという。へぇ〜。
トラツグミの章ではやはり「鵺」が登場するのだが、江戸時代の僧・厭求の「十ほどの子供を絞め殺せば出すであろう声」という表現はなかなかにパンチが効いている。
という感じで、面白い本だった。思ったより言語学の勉強になる。
本文書体:リュウミン
デザイン:きみしまあきら
