
ほしなみ
@hoshinami629
2026年10月1日

朝鮮半島史
姜在彦
読み終わった
(Mastodonからの転載)
古代から大日本帝国による「韓国併合」までを書いた通史。古代から現代に至るまで、北から南から侵略され、外交に苦慮し続けてきた地域であるのだなあ、ということを今更に知った。また、朝鮮半島社会における仏教、朱子学、キリスト教、東学といった宗教や思想の「強さ」を感じもした。
私がこの本を読むことになったのは、先日の名古屋アジア大会において、豊臣秀吉に扮した人物によるパフォーマンスが行われて、それに対して韓国側が抗議をした、というニュースを見たから。正直最初は、「韓国に対して失礼なのは分かるが、五百年前のことにも抗議をするのか……?」という印象だったのだが、Mastodonでそれに近いことを投稿したところ、「壬辰倭乱が朝鮮半島社会に与えた打撃は相当なものがあったのですよ」と教えて頂き、ああ何にも知らないなあ、と反省をしたので、この本を読み始めたのであった。
読んで分かるのは、中国やその北方との地理的連続性に起因する、外交の難しさ。政治における外交のウェイトが、日本とは比べ物にならない。特に壬辰倭乱とその直後の明清の交代は、壬辰倭乱に対抗するために李氏朝鮮が明へ支援を要請した、という背景も相まって、朝鮮半島社会に長く続く難しい影響を与えたのだなあ……と知りました。つまり壬辰倭乱は、その後の朝鮮半島社会の外交スタンス、国内で主流となる思想潮流の震源みたいなもので、軽々しく「五百年前も前のことだよ?」と言ってはならんな、ということを思いました。
また、朝鮮半島の人々から伊藤博文がどう見えるかというのも、とても勉強になった。こりゃ殺されるわ、でしかない。
十九世紀の日本の不気味さは一体何なのだろう、とも思う。1867年に大政奉還したと思えば、その8年後の1875年にはもう、軍艦によって江華島で武力的な示威攻撃を行っている。「征韓論」は幕末の国学によって思想的な根拠が用意されているとはいえ、この拡張主義、帝国主義への変わり身の速さは、朝鮮半島側から見た時物凄く不気味に見える。
江華島事件の原因となった書契問題については、日・朝の外交感覚、特に中国に対してとってきた立場の違いが如実に出ている問題であると感じた。中国の歴代王朝(そして日本)に様々に干渉されざるを得なかった朝鮮半島の為政者と、飛鳥時代の時点で「天子」を名乗った日本列島の為政者。その歴史の違いを思うと、この問題は起こるべくして起こったようにも思う。お互いの社会の歴史をもう少し知っていればもう少し違う目が出たのでは、と思ってしまう部分でもある。
上記のこととも関わるが、私は日本のエスノセントリズムの思想史を知らないなあ、と思う。伊勢神道、吉田神道、国学、みたいな流れをぼんやりと知っているだけで、その変遷も分かっていないし、それらの思想が朝鮮半島をどのように捉えているかも知らない(神功皇后物凄くリスペクトしてるのかな、みたいな雑な認識しかない)。それらに朱子学がどのように影響したのかも。
日本の「右傾化」「排外主義」を食い止めたいなら、日本社会に根を張るエスノセントリズムを知らねばならないのでは、なんてことも思った。
てかさ、日本の中学「社会科」高校「世界史」で、ちゃんと日中韓(朝)外交史、もうちょっと教えようよ。