いぬい "カラマーゾフの兄弟 4" 2026年10月2日

いぬい
いぬい
@inuiru
2026年10月2日
カラマーゾフの兄弟 4
カラマーゾフの兄弟 4
ドストエフスキー,
江川卓
再読(締切がヤバくなってこの巻だけ後回しになった)。 64p "「人間には罪を犯すことを愛する瞬間があるんですよ」アリョーシャが物思わしげに言った。 「そうよ、そうよ! わたし、そのことを言いたかったのよ、愛するんだわ、人間はだれでも、いつだって愛するのよ、《瞬間》なんてものじゃないわ。ところが、その点になると、まるでみんながいつか申し合わせて嘘をつくことにして、それ以来ずっと嘘のつきどおしでいるみたい。悪を憎むなんて、みんなが言ってるけど、心の中ではみんな悪を愛してるのよ」 「あなたはいまでも悪い本を読んでいるんですね?」 「読んでいるわ。ママが読んで枕の下へ隠しておくのを、こっそり持って来ちゃうの」 「自分をだめにするようなことをして、よく恥ずかしくないですね」 「わたしは自分をだめにしたいのよ。この町のある男の子は、汽車が上を通るとき、レールの間にうつ伏せになっていたんですってね。幸福な子だわ! だからね、いまあなたのお兄さんが、お父さんを殺したことで裁判にかけられようとしているけど、みんなはお兄さんの父親殺しを愛しているんだわ」 「父親殺しを愛しているですって?」 「愛してるのよ、みんな愛してるのよ! みんな、恐ろしいことだなんて言いながら、心の中じゃ愛してるんだわ。わたしなんか、まっ先に愛しちゃってるもの」 「みんなのことを言ったあなたの言葉には、一分の真理がありますね」アリョーシャは小声で言った。" アリョーシャがリーザを子ども扱いしてるわりに結構本気で結婚しそうだったの、最後まで謎だったな。 あと、ミーチャは女で身を滅ぼした自覚があるんだな……と思って面白かった。 94p "いいか、アリョーシャ、一つざっくばらんに言わせてもらおう。たとえどんなに立派な人間でも、だれか女の尻に敷かれずにはすまないものなんだ。これはおれの信念だよ、いや、信念というより実感だな。男は心を大きくもたなければならないときがあるが、これは男の面汚しにはならない。英雄の面目も、いや、シーザーの面目だって立派に保たれる! ただ、あやまることだけは金輪際するんじゃない。この掟を忘れるなよ。これは、女で身を滅ぼした兄ミーチャのおまえへの訓戒だよ。" 222p " なにしろぼくは、きみも知ってのとおり、いたって情にもろくて、芸術的に感じやすいほうなのでね。しかし常識が──ああ、これこそぼくの天性のもっとも不幸な特性だよ──あのときもぼくに羽目を踏みはずすことをさせなかったんだ、それでぼくはせっかくの一瞬を取り逃がしてしまった! と言うのはだね、ぼくが《ホサナ》を叫んだら、いったいどういうことになるだろうと、あの瞬間に考えてしまったんだよ。この世の一切はたちまち消滅して、なんの事件も起らなくなるだろう。" ↑この悪魔は私の好きなサドの悪魔(「ぼくは罪悪を愛するがね、男爵、ぼくは罪悪を欲するが、ぼくの運命は罪悪を罰することをぼくに強いるのだ」)っぽくてちょっとよかった。
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