
サブレとポッポの往復書簡
@snowflake
2026年10月3日

クローバーナイト
辻村深月
読み終わった
心に残る一節
感想
読書日記
@ 自宅
全体として、保護者(父母)や義父母(祖父母)の視点から書かれていますが、その上で、子供たち(莉枝未ちゃんや琉大ちゃん)の視点に立って自分を振り返ってみると、当時、子供心に感じていた自分の気持ちや、子供だった当時の私に接していた両親、特に母親の気持ちって、実はこんな心境だったのかなぁ、などと思いを馳せることが出来て、ちょっと俯瞰した感覚を持って読み進めていきました。
ああ、そういえば他の友達と比べて、私って習い事は多かったっけなぁ、とか、でもそれって、私が自分でやりたいって言ったわけじゃなくて、殆どどちらかの親が見つけてきたもので、私が自分でやりたいって訴えて始めたものってひとつもなかったかもしれないなぁ、とか。
実際、私自身、やりたくない習い事や課外活動の方が多かったし、それで何度も両親に泣いて訴えた記憶も残っていて。
ただ、親としては、自分たちがそういう習い事をさせてもらえるような環境でなかったから、お父さんに至っては、父(私の祖父)と折り合いが悪く、学業を途中で諦めて仕事に就いたみたいで、その分、子供には自分たちが叶わなかったことをたくさんしてあげよう、っていう新米両親なりの精一杯の愛情だったって理解して、今では受け入れています。
第三章の『お受験の城』を読みながら、私が卒園した幼稚園も、実は縁故だったってお話を、大人になってから知ったことなどを思いだしました。縁故とはいっても、何か試験みたいなものを母親と一緒に受けたような記憶がうっすらと残っています。本当にうっすらと、ですが。
習い事にしろ、就学してからの学校での成績のことにしろ、両親の方針は今思えば確かに厳しくて一方的なところも多々あったと思うけれど、きっと両親には両親なりの私への思いがあってのことも今でこそ頭では理解はできつつ、その源泉にあったものは、自分たちが苦労してきたことや、少ない成功体験への一辺倒な思い込みも少なからずあったのかもしれないなぁ、と、そこそこ選択肢があることを知り、大人になった今では、そう考えたりもするのです。
自分の孫に言葉の遅れがあるのではないかとか、心配する気持ちを理屈だけでは抑えきれない祖母の気持ち。親子という関係に甘えて容赦なく垣根を踏み越えてくる母への怒りとやるせなさを覚えてしまう母の気持ち。当事者ではあるけど、妻と自分の子供の問題に対して、母娘だけの問題にして干渉させようとしない姑の姿勢に対して、疎外感と憤りを覚えてしまう父の気持ち。
当事者ではないけど、それでも私なりにそれぞれの心中を推し量り、多少なりとも慮ることは出来るつもりです。だからこそ、このお話に出てくる家族みんなには、これからも幸せであってほしいし、それぞれの家族、親子関係の中で、三つ葉でも四つ葉でも、それぞれの形のクローバーを育て守っていってほしいと思います。
そして、クローバーナイトというのは、必ずしも親が子に対してだけなるものではなくて、時が来れば、反対に子が親に対してもそうなれるものだと私は思っていて、家族というクローバーの葉が例え1枚でも2枚でもそこにまだあるうちは、私も家族のクローバーナイトでありたいと思うのです。
ただきっと、これを拗らせると親子共依存なんかの問題にもなりかねないんだろうなぁ。
難しいよねえ、他人みたいに割りきれない。親族の問題って、距離が近いからこそ難しいと、もう、ほんっとうに、そう思います。
最後に『クローバーナイト』は白辻村なのか黒辻村なのかと訊かれたとしたら、私は、ほんのちょっと黒寄り、でも白辻村かな、と答えると思います。
