
j-a
@und_Meer
2026年10月3日
社会存在論
倉田剛
買った
読み終わった
トピックが多岐にわたっているうえ、それぞれの議論が丁寧に説明されていていい本だった。特に3章のGrounding & Anchoring モデルによる社会存在論的議論の整理はかなりスッキリしていてわかりやすかったし、8章のPetitのSupervenienceへの反論、9章の集合的責任の検討も興味深かった。
社会的領域にかかわる最近の議論が日本語で紹介されるという意義において倉田さんの仕事も勁草書房の仕事もほんとうに重要だと思う。
そのうえで、特に著者の構築主義観と方法論的・存在論的集合主義にはかなり腑に落ちない部分が大きかった。
倉田は構築主義者の多くは反実在論者だと導入している(110)が具体的に誰なのかは特定されていない。むしろ上野(2001)が説明するように構築主義が相対するのは本質主義であって、実在(論)じたいは保留されている、というのがスタンダードな構築主義観だと思っていた(勉強不足かもしれないが)し、社会学(社会問題の社会学や歴史の社会学など)で方法論化している構築主義は実際にそのようになっているうえ、構築主義の素朴な実証主義への回帰までもが指摘されていることを踏まえると、この構築主義=反実在論という出発点は意外だった。(ただ構築主義=反実在論とみなして構築主義を攻撃する系譜があるのはたしかにそう)。
方法論的・存在論的集合主義については、倉田が方法論的立場と存在論的立場の一貫性を目指しているという点はわかりやすかったが、これも、Durkheimなどを引き合いにして紹介されるタイプの方法論的集合主義とはかなり異なるもので、どちらかといえば消去法的に集合主義を取っている「弱い」集合主義などの言い方ができそうな立場だと思った。