なつ "なめらかな世界と、その敵" 2026年10月5日

なつ
なつ
@shiro_kuro
2026年10月5日
なめらかな世界と、その敵
なめらかな世界と、その敵
三浦冴子,
伴名練,
早川書房
短編たちの完成度が高すぎて、オチも流れも含めて本当に良かった。SF短編集というのをあんまり読んだことがないせいで彼の作品だけが高評価なのかもしれないが、どちらにせよ非常に良い読書体験だった。 特に好みなのが「美亜羽に贈る拳銃」と、「ひかりより早くゆるやかに」の2作品。並行世界をテーマにした表題作も良かったが、個人的には人間ドラマ味が強いこの二作品が好みだった。 前者は「脳を自由に弄ることができ、性格も人間性も変えられる時代」を舞台に、凡人の主人公と天才『だった』ヒロインの関係を描く物語。恋愛でありながら恋愛にはならない。2人の複雑な感情が明らかになるシーンが本当に良かった。 後者は止まってしまった(1000倍以上減速してしまった)新幹線ひかりに乗っていた修学旅行生と、取り残されてしまった主人公たちを巡る人間ドラマ。取り残された彼が何を思い、周囲はどう動くのかという物語展開からは目を離せなかったし、終盤の主人公の決断には心を打たれた。それがまさにSFと言わんばかりの科学的な挑戦だったのもまた良かった。
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