薄荷 "木挽町のあだ討ち" 2026年10月7日

薄荷
薄荷
@sheep74g
2026年10月7日
木挽町のあだ討ち
Audibleで聴きました。 「時代ミステリー」という触れ込みで聴き始めたので、物語の序盤、木挽町の仇討ちを目撃した人々の過去について延々と聞く展開には、正直「これは本当にミステリーなのか?」と疑ってしまった。しかし、仇討ちの目撃者たちの過去の話が、とても熱くて面白い。遊郭の女たちが乱暴に扱われることを許せなかった人、乞食が切り捨てられたことに怒る人、子どもを亡くした夫婦など、それぞれ異なる背景を持った人たちの物語は、ミステリーというよりもヒューマンドラマとして楽しむことができた。 「仇討ちそのものが芝居だった」という展開は、正直推測しやすかった。この作品はその先にある「なぜ芝居をする必要があったのか?」というホワイダニットを読み解いていく物語なのだと思った。 終盤には「これは仇討ちならぬ、“あだ”討ちであった」というような台詞がある。ナレーターも「“あだ”討ち」の部分を強調して読み上げているのだが、Audibleでは漢字を確認することができないため、この言葉に込められたニュアンスを感じ取れなかったことが、とても悔しかった。あとから調べたところ、「徒」という漢字が当てられていたらしい。「実を結ばない、実態がない」といった意味を持つ言葉で、「これは本物の仇討ちではない」という意味が込められているのかもしれない。タイトルが「仇討ち」ではなく「あだ討ち」と表記されているのも、ここにつながってくるのだろう。 6人のナレーターが感情たっぷりに読み上げてくれる作品だっただけに、この言葉遊びを文字で確認できなかったのは少し惜しかった。とはいえ、聴き終えてみれば、しっかりと「時代ミステリー」だった。面白かった。
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