
もくず
@mokuzuuu
2025年4月11日

すばやい澄んだ叫び
シヴォーン・ダウド,
宮坂宏美
読み終わった
アイルランドの小さな村に住む少女、シェルの物語。詩的で温かみを感じる文体が特徴的。また、1984年のアイルランドが舞台なので、カトリックの世界観を(肯定的に)理解しておくと、読解にかなり有効かもしれない。
母が死んでから貧困かつネグレクトに陥った家庭で育ち、そのせいで教育が受けられていないシェルは友達デクランの思春期特有の激しい性的好奇心と性欲の芽生えに直面して妊娠してしまう。友達以上恋人未満という言葉があるけれど、まさにそれの最悪なパターン。
しかも貧困状態で学校も通わないシェルを見かねたローズ神父(シェルが唯一信用する大人である)は、彼女を救おうとするが、その奔走がシェルに対する性虐待を疑われる羽目に。
真綿で首を絞められる地獄とはこのこと。どんどん膨らむお腹にシェルはどうするのか。そして未婚の母(聖母マリアを思わせる)シェルは閉鎖的な田舎社会でどうなるのか……是非とも見届けてほしい。
