
りら
@AnneLilas
2026年10月10日
時計泥棒と悪人たち
夕木春央
読み終わった
聴き終わった
本の中の本
大正時代
探偵と相棒
メイドと殺人
事件と記者
@ 自宅
大正ものの蓮野&井口シリーズの2冊目(決まったシリーズ名があるのだろうか?)。
半年前に読んだ『絞首商會』は元銀行員にして元泥棒の蓮野や相棒・井口の姪の峯子のキャラクター造形が結構気に入ったものの、冗長に感じたせいでなかなか次を読む気になれないでいたけど、こちらをいざ聴いてみたら前作より面白かった。
長さにも怯んでたけど、連作短編形式なのとどの短編も解決とともにあっさり幕切れとなるので軽快に進んだ。
刊行順
絞首→サーカス→時計→サロメ
作中時系列
時計→絞首→サロメ→サーカス
自分が読んだ順番
サーカス→絞首→時計(→サロメ)
というカオス状態で、いまいち時系列が掴めていないのが残念。
サロメの粗筋を読むと時計の最後の短編とじかに繋がっているようだけど、ネット検索によるとサロメの件に入る前に絞首商會の事件が起きているらしいので混乱する。誰かが時系列を細かく整理してまとめてくれないかな(他力本願)。
このシリーズのスピンオフと思われる『サーカスから来た執達吏』との共通の登場人物である晴海社長が、初めて伝聞などではなくキャラとしてちゃんと出てきた気がする。なかなか面倒そうな御仁である。
晴海社長だけかと思ったら、サーカスで女の子二人組が身を隠すお屋敷の女主人の女優が、今回井口の妻の同級生として登場する浅間光枝だった。
峯子が誘拐犯に連れて行かれた奥多摩の厩舎だかも、サーカスで潜伏先として登場したような…?
『絞首商會』で武勇伝的に語られた峯子の誘拐事件の詳細も短編2作にわたって語られた。想像より本格的な営利誘拐だったのに、峯子はやはり誘拐犯とのバトルにも逞しく参加していた。
タイトル通りオランダから伝わったという井口家の曰く付きの時計にまつわる事件が全体の基調となっているんだけど、さして関係のないエピソードもあるので、やはりオーディオブックでがしがし聴いていくと細かいところはすぐ忘れてしまうな。
今回は井口視点のほかに、盗み聞きが趣味の住み込みの女中や、船で給仕やら雑事やらを一手に引き受けたメイド的な掃除婦、峯子の視点で語られた作品もあった。
このシリーズには毎回英米少女文学への言及があるけれど、今回は『嵐が丘』の原書が印象的な形で登場した。
単行本の装画でいうと左の和服が井口くんで、洋装が蓮野。他にもよく見ると中華まんや虎、ルビー、イコンのリザ(覆い)らしきものといった重要なモチーフがちりばめられてて割と好きだったのに、文庫版では一新されてしまった。
蓮野は長身のイケメンらしい。
オーディブル2.3倍速。
オーディブルで聴了した、記念すべき100冊目の作品だった。去年9月からの13ヶ月で100冊到達。