
くにっち
@kuni
2026年10月16日
なぜあの子が性加害者になったのか
宮口幸治
読み終わった
著者は『ケーキの切れない非行少年たち』シリーズを書いた児童精神科医。子どもが将来性加害者にならないために何ができるかを考えた本。被害でなく、加害防止に焦点を当てているところが特徴です。
まだ一般に浸透していないと思われる知見が豊富に掲載されていて、親をはじめよく子どもに関わる大人は一読して損はないと思いました。
■メモ
・現在の世界的研究では、子どもの性問題行動は単純な性的逸脱ではなく、以下の要因の相互作用だと考えられている。
①社会情動・自己制御の未熟さ
②不適切な性情報・性的な環境曝露
③家庭・環境ストレス
④境界・同意・対人理解の不足
・支援も、罰や管理ではなく、発達支援・トラウマ支援・家族支援・社会情動教育を統合した包括的アプローチに移行している。基本は発達支援と環境への介入。
・性の問題行動を持つ子どもはたいていほかの問題を抱えており、たまたま性問題行動につながっていることが多い。例えば、対人関係、感情、いじめ、発達、認知機能、学業、家庭の問題など。
・大人の性犯罪と子どもの性問題行動は本質的に異なる現象。前者は、性的嗜好、認知のゆがみ、権力関係、などに基づく意図的な行動。後者は、複数の要因で発生することが多く、適切な支援で改善する可能性がある可塑的な行動。広い非行の一部ととらえたほうがよい。
・予防の柱は三つ
①対人教育(社会性・共感性の発達)
②関係のルールの学習(境界と同意の理解)
③環境リスクの低減と家庭支援
しかし日本では各領域が分断して実施されている。例えば、道徳教育やいじめ防止教育で共感性を。「生命の安全教育」でプライベートゾーンや被害防止を。家庭支援や福祉政策で環境要因を扱っている。
・感情をコントロールするためには、まず自分の感情に気づき、それを言葉で表現できるようになることが必要
・問題行動が生じる過程
①認知機能:バカにしている顔だ
②思考:バカにしやがって
③感情:むかつく
④行動:+△※★#!!
・思考パターンによる感情の違い
「それは違うよ」
→A:「教えてくれてありがとう」
→B:「うるさいなバカにしやがって」
・怒りにつながる思考の例として、「時分の思い通りにならない」というものがある。自分の固定観念(〜すべき、〜が当然)や一方的な期待に気づき、修整していくことが感情をコントロールする力の向上につながる
・心のブレーキには三段階ある。
①低:恐怖や不安の感情
②中:その場の状況の認知的な判断
③高:自分の価値観や信念、長期的な将来への影響を考慮
ストレスはこのブレーキを突破させ、慣れはブレーキを摩耗させる。
・性加害を行った子どもたちは生きづらさを抱えていることが多い。しかし本当に支援すべきなのは、同じような生きづらさを抱えながらも、その困難に気づかないまま社会に溶け込んでいる子どもたち
