
izy
@izy
2025年4月12日

かつて読んだ
キャラクターのかわいらしさよりも、ぎりぎりまで要素が削ぎ落とされたデザインワークのシンプルな力強さを感じる。
確信をもって引かれた線、選び抜かれた色彩・構図。とくに冒頭に載っている静物のスケッチは、「ブルーナは世界をこういう風に見ていたのか!」という衝撃がある。60年以上にわたり人々を魅了してやまないブルーナ作品の核心に迫る本だと思う。
ブルーナといえば、東日本大震災のときに描かれた、両目から大粒の涙を流すミッフィーの絵が印象的。励ますのではなく、悲しみに寄り添おうとすることが伝わる絵だった。災害やテロ、戦争によって日常が容易く失われる世界にあって、揺るぎないシンプルさでブルーナが描くささやかなひとこまは、この上なくかけがえのないものに映る。



