masarumilano "レッドゾーン(上)" 2026年10月20日

masarumilano
@masarumilano
2026年10月20日
レッドゾーン(上)
舞台は、日本の自動車産業を代表する巨大企業・アカマ自動車をめぐる買収劇である。 中国側の交渉相手は、こちらの常識や信頼関係が通用せず、利益のためなら手段を選ばない。その姿には、思わず憎らしさを覚え、こんな相手と仕事をするのかとウンザリさせられる。 しかし、ふと考える。かつて高度経済成長期の日本企業も、欧米から同じような目で見られていたのではないだろうか。もちろん、どんな買収手法も正当化されるわけではない。それでも、立場が変われば、正義と悪の見え方も変わる。相手を一方的に悪者にするだけでなく、かつての日本の姿を振り返るきっかけにもなるところが、本作の面白さだ。 物語は大企業同士の資本争いにとどまらない。芝野が関わる中小企業の製品が、アカマ自動車を救う切り札になるのだろうか。これまでの「大阪編」では、自動車開発の難しさが繰り返し描かれてきた。優れた技術さえあれば勝てるわけではない。資金も、人材も、組織力も必要になる。だからこそ、中小企業の技術が巨大企業の運命を左右するかもしれないという展開に期待が高まる。 また、大企業も中小企業も、精神的な支柱を失えば一気に不安定になるという共通点が印象に残る。組織を支えるのは、資金や制度だけではない。人をまとめ、進むべき方向を示す存在が欠かせないのだ。そして、人が集まれば、それぞれの思惑が生まれ、さまざまな企みが動き始める。それもまた、人間社会の避けがたい一面なのかもしれない。 アカマ自動車は、この窮地をどう切り抜けるのか。芝野が関わる中小企業の技術は、どんな役割を果たすのか。上巻を読み終えても、先が気になる。
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