
ユメ
@yume_bookworm
2026年10月21日
新装版 デルフィニア戦記
茅田砂胡
読み終わった
感想
今まで以上に、ウォルとリィの絆の深さに胸を打たれた巻だった。
パラストに囚われ、生死の境を彷徨うウォルが、リィに想いを馳せる描写がとてもよい。「国王が王妃に対して抱くものは真の友情であり、心からの深い感謝であり、肉親以上の親しみであり、敬意ですらあった。いつも小さな奇跡を見る思いで接していた」という文章に心が熱くなる。
同じ頃、ウォルを救出するためにひた走るリィが、その理由を「『自分』というものを貫くため」と語られているのにも胸がいっぱいになった。
ウォルにとっては、何も持たなかった己を命を賭して無償の愛情で助けてくれたことが、リィにとっては、誰もが恐れるであろう己の正体を知ってなお友として接してくれることが、お互い本当に大切なことなのだ。彼らが隣にいて積み重ねてきた日々の尊さに、ここまでの物語を振り返りながら心が震えた。
二人の絆が健在な限り、リィなら絶対にウォルを助けられると信じていたのは間違っていなくて嬉しい。
強固な絆といえば、バルロとナシアスの友情の揺るぎなさにも今回も感服した。書面だけで相手の本音を汲みとり、信頼を寄せられる間柄は、見ていて羨ましくなるほどだ。
新装版の刊行によって『デルフィニア戦記』と出会った読者なので、ここまで来てまだ物語が「動乱の序章」であることに、いったい物語の全貌はどれほど壮大なのだろうと否が応でも期待が高まる。次巻の刊行が待ち切れない。


