
amy
@note_1581
2025年4月15日

異性愛という悲劇
トミヤマユキコ,
ジェーン・ウォード,
安達眞弓
読み終わった
感想
読んだ。うん。内容は至極まっとうで、正しい。ただ、これは結局、誰に向けて書かれたものなのだろうか、と考えてしまった。おそらく異性愛者の女性、そして男性に向けての本なのだろうけど、語り口があまりにも「異性愛はいかに愚かなものか」「異性愛者の女性はいかに被害者で、いかにかわいそうか」という点を強調しすぎているように感じた。はたして、これを最後まで読み通す異性愛者の女性はどれだけいるのだろう。
「あなたはかわいそう! あなたは被害者! それはあなたが愚かだから!」という語り口は、いくら内容が正しくとも、それを自分のこととして受け止めることに壁を作ってしまうのではないか。異性愛者であることがかわいそうだなんて、そんなふうに言っていいのか、という気持ちも湧いてしまう。
海外の書籍を翻訳したものだから、ということもあるのだろうけど、X(蔑称)に垂れ流されている言説をそのまま書籍として読む必要があるのか、と思ってしまった。特に著者の知人たちへのインタビューのパートは正直ひどいなと感じた。
アメリカで書かれた本でもあるし、そもそも前提となる状況が異なるということもある。日本では異性愛者の女性がクィアの人たちと出会ったり、頻繁にコミュニケーションを取るような環境は、まだそこまで整っていない。
土壌がまるで違う以上、この本の受け取られ方も同じではないと思う。翻訳されたということは日本の読者にも読んでもらいたいという意図があったのだろうけれど、正直なところ異性愛者の女性であっても、すでにフェミニズムやミソジニーに関する知識を持っている人たちに向けて「そうそう、ほんと最悪だよね!」と溜飲を下げるための本にしかなっていないように感じた。
改めて言うが、内容自体はとても正しい。家父長制やミソジニーの弊害を女性がこうむっていることについて、しっかり書かれている。でも、それが読む側にきちんと届くかというと、必ずしもそうではない。そんな、惜しい印象を受けた。






