ishiguro_reads
@ishiguro_reads
2024年8月15日

カワイイパラダイムデザイン研究
チームカワイイ,
真壁智治
読み終わった
著者の「建てない建築家」の真壁智治が共立女子大で2005年に行った演習課題をベースにしており、真壁と有志の学生「チームカワイイ」のワークショップから生まれた感性価値研究を2007年に書籍化したものである。
真壁にとっても、同年代のおじさん教師たちにとっても、「かわいい」を連発し構築的な思考で建築を語れなくなってきている生徒たちは悩みの種だった。
しかし、様式主義の「重いコトバ」、モダニズムの「正しいコトバ」、ポストモダニズムの「反コトバ」に対して、情報社会であるポスト・ポストモダニズム期に「軽いコトバ」が横行するのは、ある種不可避である。であれば、「カワイイ」について分析し、デザインボキャブラリーとしての市民権を与えよう、というのが本書の動機。
「カワイイ臨界点」などのパワーワードとともに、キモカワイイやカッコカワイイ、シブカワイイなど、カワイイと他領域の臨界点を探るため、パラメーターを変えたスタディが面白い。基本的に水玉はカワイイが、秩序や密度を変えるとほほえみだす、という内容も良く、感覚的な配置のカワイイ度を定量・定性の両方から分析する。