ishiguro_reads "Foodscape フードス..." 2024年12月18日

Foodscape フードスケープ
イタリアに交換留学していた頃からの友人の書いた本。彼はスローフードを担う農家や農村のリサーチをしていて、イタリアの各地の生産者に取材をしてまわっていた。 特定の農作物をつくるため、農地には様々なスケールの要素が絡み合った特有の風景がある。その風景には、人の営みと自然の摂理がお互いに歩み寄ってできたような強度とリズムがあり、心惹かれる。 本書は、農地の地形的特徴、生産の体制をつくるための街の構成、ぶどう棚のような生産のための治具、など、食の生産にまつわる風景(フードスケープ)をつくる要素とその関係に着目する。それらは、インタビューや写真、周辺環境まで含めた長い断面(バレーセクション)、人のつくる治具や建物の仕組みを説明する短い断面などで説明される。 普段建築で見る(描く)よりもかなりスケールの大きいバレーセクションも魅力的だが、筆者本人が撮った写真に目を惹きつけられた。 本自体も横向きに長いが、写真も大抵は横構図が取られる。人を映しながら建物を、建物を写しながら山を、という風に、一つの写真の中に複数のスケールを行き来できる視点がある。横向きの写真を英語で呼ぶことも含めて、この人の目はランドスケープを向いているのだな、と思った。
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