
読書記録
@records
2025年4月17日

人生の意味の哲学入門
森岡正博,
蔵田伸雄
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第六章を読んだ。ベネターの反出生主義の内容と、反出生主義への反論が書かれている章。
・非対称性論証
不幸なことが起こるのは悪い、不幸なことが起こらないのは良い。
幸せなことが起こるのは良い、幸せが生じないのは悪いわけではない(ニュートラル)
※ここに非対称性がある
↓
生まれること(何かしらの不幸が含まれる)は、生まれないこと(幸せも不幸も生じない)に劣る。
これが多分、一番有名なものかな。
全部で7つの論証が説明されているが、個人的にあまり面白くはなかったので全部はここにまとめない。
・同意論証
同意の不在(生まれてくる子供に同意を得ていない)
↓
「たとえ利益を与えるためでも、同意のない他者に対して、小さくない加害を行うことは許されない」という道徳原則を適用
↓
生殖はこの原則に反する
親が子供を産むことによって利益を与えるつもりでも、子供は同意していない(勝手に産んでいる)。それにより生じる加害(生まれることによって生じる不幸)を正当化することはできない。
この問題は文学でも扱われていて、胎児に生まれたいか問う、という設定の小説もある(芥川龍之介「河童」、李琴峰「生を祝う」)
「産んでくれなんて頼んでない」というのは、親子喧嘩で子供がいかにも口にしそうな台詞で、私自身も子供時代にそういう発想になったことはあった。
確かに、親が勝手に産んだせいで、理不尽な世界で生きることを強いられているのだけど、そんなことにも折り合いがついてきて、30代になった私は生まれてきたことを嫌だと思わなくなってきている。
