
イイヤン
@h_d_d
2025年4月19日

4年制不老不死(1巻)
山本悪々
読み終わった
悠久の時間を生きる吸血鬼にとって、暇をどうやってつぶすかは永遠の課題。人と仲良くなっても先に向こうが死んでしまうし、吸血鬼だとバレるのもあまりよくない。だけど孤独に生きるのはつらい。そこで主人公の吸血鬼・鏡原マチが編み出したのは、適当な大学のサークルに入って遊び倒し、4年経ったらまた別のサークルに入り直すという方法!
ちょっと前に友達と「人間関係の新陳代謝が早い」という問題について話をした。特別離れていくような出来事があったわけでもないのに、仲良く遊んでいた人といつのまにか疎遠になるというようなことが少なくない。別に人付き合いが嫌いなわけじゃなく、そのときそのときで仲良しの相手はいるのだけど、なんとなくみんないなくなっていく。インターネットを始めたばかりのときに入り浸っていたチャットのメンバーとは、いまもう誰とも連絡をとっていない。このご時世でインターネットを使っていないということは考えにくいので、いまもどこかのSNSにアカウントを持ってたりはするのだろう。僕の人生から退場してしまった人たちのことを、たまに思い出す。あんなに楽しかったのに、思い出せないことも多い。
吸血鬼の鏡原マチも、かつて在籍したサークルの人たちや、自分によくしてくれた人たちのことがもうほとんど思い出せない。思い出せないということに気がついて初めて、自分の中から失われたものについて考える。楽しかったことを忘れてしまうのはさびしい。だったら、忘れてしまったことすら思い出さず、今だけを楽しく過ごしていればいいのか。
僕の人生から退場してしまった人たちのことを、たまに思い出す。あんなに楽しかったのに、思い出せないことも多い。
ある日急に空き地になってしまった場所に、かつて建ってた建物がなんだったか思い出そうとするような、ないものを思い出そうとする感覚。
思い出せないけど、たしかにあったなにかについて。そういう気持ちに触れるマンガ。