CandidE "サイケデリック・ルネッサンス..." 2025年4月19日

CandidE
CandidE
@araxia
2025年4月19日
サイケデリック・ルネッサンス (NEXTRAVELER BOOKS)
「人生でたった一度のサイケデリック体験の有無は、個人の世界観を大きく変える可能性を秘めている。僕は、これこそがシリコンバレーと日本を分かつ重要な違いの一つなのではないかと考えている」 本書は、著者が35年以上にわたり追跡してきたサイケデリックスの最新動向と可能性についての取材記録である。著者はサイケデリック・ルネッサンスの多面的な実態を浮き彫りにし、その歴史的・文化的・科学的意義を掘り下げながら、1960年代のカウンターカルチャーやドラッグのイメージを超え、現在進行中の最先端技術や研究成果に基づく幻覚剤医療の革新性を綴っている。 本書の個人的な魅力は、サイケデリックの歴史・文化・科学が時代の変遷とともに表裏一体で錯綜する状況を、著者自身がリアルに目撃した臨場感にある。ヒッピー文化、コンピュータ、エレクトロニック・ダンス・ミュージック、ピクサーのアニメーション、自己啓発セミナー、アップルヴィジョンpro、AIといった一見異なる領域が、サイケデリックによる意識変容体験を通じて菌糸のように繋がっていることに納得させられる。 それにしても、著者がティモシー・リアリーやアルバート・ホフマン等、この界隈における伝説の人物から直接話を伺っているのは、強い。 現状のサイケデリック・ルネッサンスについて手早く理解したい場合、本書はマイケル・ポーラン著『幻覚剤は役に立つのか』よりもスマートかつコンパクトであり、要点が緻密に整理されているため、強くおすすめできる。 「もしいま、各人がサイケデリックを通じて己の内なる世界を俯瞰し、そこに潜む意識の多層性や共感の可能性を発見したとしたら、いったいどのような「主観的かつワンネスな視点」を描くのだろうか。 サイケデリックの最大の特徴は、脳内ネットワークの組み替えを通じて「意識の変容」を引き起こし、自己認知や世界観を大幅に再構築できる点にある」 本質的に本書は、意識や精神の深奥にある自由な内的宇宙探究と霊性についての科学的解明へと我々を誘うものである。願わくば、この潮流がマニエリスム、バロック、ロココと続きますように!
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