
ワタナベサトシ
@mizio_s
2025年4月23日

赤朽葉家の伝説
桜庭一樹
読み終わった
感想
『百年の孤独』からの連想(大家族・歴史大河)で読む。
物語は大きく三代(母・娘・孫娘)に分かれており、その時代なりの世相なども絡めて進んでゆく。読者自身の世代なり思い出や経験などとリンクさせながら、懐かしく、または新鮮な発見がありながら、ケレン味たっぷりの近現代家族史を辿ることができる。
山の人(サンカ)や異能(未来予知・千里眼)、そばにいるのに目視できない間柄(妾腹の妹が死ぬまでその存在に気付けない姉)など、文章で書かれた小説だから仕掛けられる奇想綺譚に翻弄され、酩酊感を味わう。これもマジックリアリズムなのか!
長い年月に渡る大家族の物語ではあるのだけど、登場人物はすっきり整理されていて、人間関係の複雑さに混同したり迷子になってしまうようなことはない。それには主要登場人物の珍しいネーミングも一役かっている。
個人的な好みとしては、会話部分を少なくしてほしかった・内省描写を多くしてほしかった・無駄で重要ではない登場人物やエピソード乱発でたたみかけられてもっと翻弄されて目を回したかった……、と感じるので、物足りなさはある。創作エンタメ活劇としてはこれくらいスッキリがちょうどいい匙加減なのだと思う。
スピンオフ姉妹編『製鉄天使』読まなきゃ!
