ロッタ "死んでから俺にはいろんなこと..." 2025年4月16日

ロッタ
ロッタ
@rotta_yomu
2025年4月16日
死んでから俺にはいろんなことがあった
死んでから俺にはいろんなことがあった
リカルド・アドルフォ,
木下眞穂
「俺たちはそこらの通行人となんら変わりなく見えた。ただ、俺らはどこからともなくやってきたのであり、どこにも行くところがないだけだ」 この小説を人前で読むのには注意が必要です。読みながら「ばか(笑)」「何してん?(笑)」と何度にやついたことか...!!買い物に出かけ家に帰れなくなったある不法滞在者一家の「俺」視点の独白。愛すべきばかの「俺」はぶっ飛んだ思考をたれながす。じたばたともがきドツボにハマる。金はない。仕事はない。シマ(移住先)の言語は喋れない。どうしようもなく甲斐性のない男なのに憎めない。「俺」は妻カルラと息子チビを愛している。 笑ってばかりもいられない。それがこの小説の味わい深いところです。タイトルの「死んでから俺には〜」は、シマで「俺」がまるで死んでいるかのようにいないものとして扱われていることへの比喩である。「俺」は生きている。 シマでの透明人間のような毎日に「俺」は苦しむ。なぜ言語を喋れるようにしないの?なぜ習慣を合わせるようにしないの?その考えは、持っている者=多数派の思考なんだと自覚する必要があると思った。教育を受けられる環境ならば「俺」はシマにはいない。習慣は「俺」のアイデンティティである。移民を受け入れるということはそういうことで、受け入れる側への問いかけでもある。(いつ自分が移民になるかもわかりませんしね〜〜。) さらっと読めるけど問いかけは深い。どこまでも走る「俺」、カルラ、チビが見える。3人は笑顔だ。
死んでから俺にはいろんなことがあった
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