
あんどん書房
@andn
2025年4月24日

ままならない日々/読書記録
三上こすも
読み終わった
古本屋でバイトしつつ、自身のお店のオープンを目指している著者によるZINE。片方から読むと日記、反対から読むと読書記録という構成。その手があったか!
“自分の傷を愛せるように、何か物語でもエッセイでも、なんでもいいから書いて形にしてみたい、と思ったのだった”
(P3「まえがき」)
傷を癒すために書く、という動機が最初に書かれているのが良いなぁと思う。みんなそれぞれの傷を癒すために書いているのかもしれない。それを繕おうとするんじゃなくて、まずは「できることから形にしてみる」。そんな言葉には勇気をもらえる。
『随風』の巻頭で宮崎さんが書かれていたことにも通じそうだ。
“図書館で本を借りるの、もう辞めたいのに(なぜなら積読が家にたくさんあるから)、読んだ本を返しにいくと、そのついでに・・・と図書館の棚を漁り、いい感じの本を見つけては借りることを繰り返している”
(P25)
積読永久機関!
あまりにもあるあるすぎて辛い。その上最近はZINEにまで手を広げてしまい……嗚呼。死ぬまでには、きっと。
“時期を決めてやらないと永遠に古本屋開けないよ、と言われて本当にその通りだと思う”
(P31)
バイト先の店長からかけられたという一言。自分にも刺さりすぎる言葉だったので一億回写経します。
……という感じで共感の多々ある日記パートだった。同時代的な部分もあるのかもしれない。いつか著者が開いた古本屋さんを訪れたいなぁと思う。
読書記録パートは、内容についてと読み手としての著者自身についての文量バランスがちょうど良い。(自分はあらすじを書きすぎかもしれない)
『82年生まれ〜』の感想の中で書かれている、
“平成生まれで、もう性差別なんてないじゃん!って思われるかもしれないけれど、実際のところ「女の子だから〜」と度々言われてきた”(P74)
という一言にハッとさせられた。見ようとしなければ見えないものがたくさんある。もっとジェンダーについても知らねばならない。
(あと単純に、読書会やZINEワークショップがたくさんある都会が羨ましい…)
表紙書体:DSユーミンウォーク
本文書体:游明朝体
表紙イラスト:めるパパ





