ヨル "精選女性随筆集 須賀敦子" 2025年1月19日

ヨル
ヨル
@yoru_no_hon
2025年1月19日
精選女性随筆集 須賀敦子
精選女性随筆集 須賀敦子
川上弘美,
須賀敦子
昨年の終わりから引き続き、須賀敦子をずっと読んでいる。わたしにしてはとても珍しいことで(村上春樹もなんだかんだずっと読んでるが)、なぜそんなに彼女の文章に惹かれるのか......ヨーロッパへの憧れや若くして海外へ出ていった彼女の勇敢さ...そういったものへの興味関心もあるけれど、それだけではないような気もする。60になってから文筆家になった彼女の文章には、死の気配が常に漂っている。それは夫の死をはじめ、両親や家族、友人など...彼女より先立った人たちとの思い出が綴られているから。その死の気配というか、死の匂いがある彼女の文章に妙に惹かれていることに気がつく。周りの死に対して自分自身のことなのに、客観的な文章というか、全体に淡々とした語り口になっているところも。 岡本太郎の解説もすごく良くて、だから彼女の文章がすきなんだなと腑に落ちた。 『須賀敦子が書こうとしたのは名文でも美文でもない、人の魂に寄り添う文章だった。もう一人の自分に、読み手ひとりひとりに語りかけるように、筆を進めた。だからしばしば、須賀の、聞いたことのある者なら思い出さずにはいられない深く、印象的な声で、自分だけに語りかけられているような心持ちになる。記憶の書棚があるとすれば、そこから一冊ずつ取り出して読み聞かせるようなかたちで、とっておきの思い出を紐解いてくれる。思い出の語りには時に綻びもあるが、須賀はさほど気にせず自分だけの言葉でかたくなな心を守りながら、大切に語り続けたーーさながら小説の主人公がみずから自分探しの物語を追いかけつつ日記に書き綴るように。』──(p266より)
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