
読書記録
@records
2025年4月25日

人生の意味の哲学入門
森岡正博,
蔵田伸雄
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第七章は「人生の意味と自己実現」というテーマ。個人的に面白かった部分をかいつまんで。
哲学・倫理学の歴史に登場する自己実現の理念は「自分の本性に応じて生きること」「自分自身(の本来の姿)になること」を指す。
そこからアリストテレス的な「完成主義」が紹介されている。
人間に固有の働きは理性を伴った魂の活動
↓
それを十分に発揮することが徳である
↓
人間にとって善いことは「徳を備えた魂の活動」
というふうに、自分の本性に応じて生きることを考える上で、「人間」としての自分に着目する。
非エリート主義的な完成主義の可能性
・ロールズ
リベラリズムの立場からすれば、善い生き方についての共通の合意は存在しない。
ある生き方が別の生き方よりも卓越(完成)しているという、特定の生き方を特権化するような理論は斥けられる。
・スタンリー・カヴェル(エマソン的完成主義)
エマソンの「自己信頼」という概念を基幹として、考えられた完成主義。
「自己信頼」とは、「自己のひとつひとつの状態が完結している」と信じつつ、いまだ到達していないが到達可能である別の自己へと変化していくことを自ら認めることを指す。
反対に、自己を信頼していない者は「迎合」という状態であるとされる。
他には、達成の価値(なんらかの目的を達成する過程それ自体に価値があるという議論)や、チャールズ・テイラーの議論も出てきたけど、そのあたりは特段興味惹かれず。
私はエマソンに興味が湧いて、Amazonでポチった。
自己実現や達成ってすごく重要な問題ではあるし、それが生き甲斐や生きる意味にもなりうるんだけど、それを至上の価値のように考えると、じゃあ、それができなければその生は失敗である劣っている、という自己否定的な結論が導かれてしまう恐れもあるから、自分の中でどのように位置付けるかが難しいと思う。


