
ユメ
@yumeticmode
2025年4月24日

できたてごはんを君に。
行成薫
読み終わった
感想
『本日のメニューは。』と同じ街を舞台にした、飲食業で奮闘する人々の物語。かつ丼、ロコモコにスパイスカレー、ラーメン、米粉パンと、店で出しているメニューも店を始めることになった理由も様々な登場人物たちだが、来てくれる客や自分の愛する人にとびきり美味しいものを食べさせたいという想いは共通している。その志の熱さがひしひしと伝わってきて、胸を打たれた。
中でも、パン屋の息子である照星が、小麦アレルギーの子供のために美味しい米粉パンを作ろうと一念発起する「ハッピバースデー・トゥー・ユー」がよかった。幼いながらにずっと友達と同じものが食べられないことを我慢していた菜乃花が、初めて口にするパンの味に泣き笑いするシーンの、「パンの力で、人に人生をプレゼントすることだってできる」という照星のモノローグに痺れる。照星の熱意によって、物語に登場する店が繋がってゆくくだりは感動的だ。

