こんぺい
@konpei
2025年4月29日

君が代は千代に八千代に
高橋源一郎
読み終わった
著者若かりしころの短編集。すべて人間は鬼畜なのだという結論に至ってしまう。あまりに偏っていて未熟ゆえだと感じがちだけど、熱量が醜さがそれを上回って説得させられる。
『愛と結婚の幻想』が1番好みだった。飾らず端的で、狂気的だった。視点の切り替えも、技巧ではなく自然だった。
『Mama told me』『Papa I love you』はYouTubeでの朗読を聴いていたので軽く読めた。初見だとまた違ったのかも。あとがきにあったが、著者の自作朗読はたいてい『Mama told me』か『さよならクリストファー・ロビン』らしい。反応は真逆だと書いているけれど、内容は同じだと思う。奇跡と薄いヴェール、それから革命前夜。文学でこれらを照れず腐らせず、まるごと描けるのは著者だけだと思う。
けれど。『君が代は千代に八千代に』以降、嵐が来ないのだともあとがきにある。同じことを感じていたのですこし安心した。それに気づけているなら、また描けるかもしれない。無理かもしれないけれど。すくなくとも、それを言えるひとは信頼したくなる。