
noko
@nokonoko
2025年4月29日

川のほとりで羽化するぼくら
彩瀬まる
読み終わった
借りてきた
心に残る一節
初めてウスバキトンボの渡りの習性を知った時は、まるで集団自殺でもしているように思えて胸がひんやりしたものだ。ペンギンさんはそうですそれ、と頷いた。
「無駄死にじゃないかって思ってたんですよ、俺も。でも、最近ふと思ったんです。こいつらは、環境が変わるのを期待してるんだなって」
「環境?」
「温暖化が進んで暖かい地域が増えたら、毎年毎年こんな集団自殺みたいな渡りをやっているこいつらの生息地は爆発的に増えます。馬鹿げた無茶をしているわけじゃなく、自分たちの生きやすい世界が来るのを信じて飛んでるんだ。けっこう、したたかですよ。そして、いずれは勝負に勝つだろう」(「わたれない」)