冷やしトマト "闇の精神史" 2025年4月29日

闇の精神史
闇の精神史
木澤佐登志
信奉の前ではビジネス精神なんて吹けば飛ぶ。科学の目指す先は楽園であり, その手前にあるものは無意味である。西洋を近代と置き換えて読む時, 《超克》の文脈は無限の可能性を秘める。ある意味ではSFの対極に位置する思想。彼らは本気だ。『大きな物語』は終わったのか。科学文明に生きる私たちの目指す先はどこにあるのだろう。《宇宙》という, ここではないどこか。近代とは別軸に生きる彼らはその果てを目指す。単なるノスタルジーなのか, あるいは別の物語の始まりなのか。答えを知る者はいない。SFマガジン連載記事の再編。小説からの引用も多く, 読んでいて楽しかった。SFとはなにか。たとえそれが実現可能性のないノスタルジーだとしても, 価値あるものだと私は信じたい。悶々としていたものが少し言語化されたような気がする。世の中に飽きている人にもオススメできそうな一冊。
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