
隙間
@ssskkm
2025年4月30日

このあたりの人たち
川上弘美
読み終わった
@ 自宅
断片的だけど連続する掴み所のない夢を見ていたかのような後味が残る掌編小説。
不穏で生温い質感が堪らなく癖になる。
軽快なスキップを踏むように何度も空間ごと時間が伸縮する為、体感的にも疲労感的にも掌編以上の長さ、時間の濃さを感じる。
脳内で想像はできるものの現実味を帯びることはなく、透明な布がするりと通り抜けていくような不気味な感覚に陥るが、世界観を全身で感じることができたような不思議な一体感が得られた。
夢の中でもしようと思わない、バカバカしくてしかし倫理的に現実では決してできないようなことを実践し、達成したかのような高揚感にも似た限りなく薄い幸福感が読後に纏わり付く。

