
はれのそらし
@murasaki_no_sky
2025年5月3日

読み終わった
休職する直前、何を食べても美味しくなかった。味がしない。食べている事実だけが残り、美味しい甘いものを食べていてもクリームの感触しかしない。別に味がわからないわけじゃない。でも、高級なランチを食べても有名店のケーキを食べても何も感じなくなっていた。
わたしはあのラストを嘘の塗り重ねだと思ったのですが、本当にラストに向けて突然文章のスピードが上がって、主人公の苦しさをぶつけられた時ただただ自分も苦しくなってしまった。
私たちはきっと寝るために生きている。遊ぶために生きている。食べるために生きている。なのにそれらをする時間は全て労働によって奪われている。
躁鬱で休職した時から感じていた時間のなさ。文化的な生活がどんどん侵食されるきつさ。そういう話かと思いきや
主人公はそもそも食べることが肯定されていることや文化的な生活として確立されていることそのものに嫌悪感を抱いていて
食べることに囚われている人を主人公は理解ができない。
タイトルの「おいしいごはんが食べられますように」というのは誰の願いだったのか
主人公ではないなら彼女側なのか、はたまた同僚なのか
わたしは今もおいしいごはんを毎日求めているけれど、おいしいと思えるご飯に出会えたことが何度あっただろうか。