suivre le fil de l'eau "マッカラーズ短篇集" 2025年5月3日

マッカラーズ短篇集
マッカラーズ短篇集
カーソン・マッカラーズ,
ハーン小路恭子,
西田実
マーヴィン・メイシーを攻撃するためにやろうとしたことが、みんな自分自身にはね返ってきた。自分で仕掛けた罠にひっかかり、なさけない目にあうことがしばしばあった。しかしそれでもマーヴィン・メイシーを家から追い出そうとしなかったのは、ひとりになるのがこわかったからである。一度他人といっしょに住むと、ひとりぼっちになるのが非常な苦痛になる。突然時計の音が止まって、暖炉の火に照らされた部屋がしんと静まり、がらんとうの家のなかで物の影がゆれる──ひとり暮らしの恐ろしさに耐えるくらいなら長年の敵とでも同居するほうがまだましだ。 (「悲しき酒場の唄」, pp.106-107) 「木、岩、雲」, 「家庭の事情」を読んでいるときには、つねにジュンパ・ラヒリの「Interpreter of Maladis」の情景が念頭にあった。それぞれを「Sexy」(「セクシー」), 「A Temporary Matter」(「停電の夜に」)と対応させながら読み進めた。
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