
読書猫
@YYG_3
2025年5月5日

anone 2
坂元裕二
読み終わった
(本文抜粋)
"「バレちゃいましたか。さっきまで、買う予定のないものの値段を調べて遊んでました。知ってましたか。ボウリングの玉は二万円で、ピンは一本二千円で十本あるんです」
「同じ値段のぶつかり合いだったんですね」"
"「願いごとってさ、星に願えば叶うと思う? 願いごとは泥の中だよ。泥に手を突っ込まないと叶わないんだよ。(ハードディスクを)それはさ、僕が手を汚して手に入れた希望なんだよ。壊したら消える」"
"「これまでの人生で起こったすべての理不尽な出来事が忘れられる気がします」
「何があったの?」
「僕、人生で三回しか熱出したことなくて、それが高校受験と大学受験と就職試験の日でした」
笑う三人。
「ハワイに行ったら、インフルエンザになって全日程寝込んでました」
笑う三人。
「喫茶店入ってコーヒー頼んだら、何であんたにコーヒー出さなきゃいけないんだって言われました。神奈川出身なのに、九州帰れって言われたり……」
「もういいもういい」
「でもね。僕、思うんです。人生、何が嬉しいって、悲しくて悲しくてやりきれなかった出来事が、いつの間にか笑えるようになってることです」
「あー」
「こんなつらいことがいつか笑えるようになるのかなって思うと、なんか楽しくなってきませんか」"
"「想像してみたりすることはあります。あの時もし、って。もしちょっと違ってたらどうなってたかなって。子供の頃、二人で逃げ出したことがあって、それが成功してたらどうなってたかなって」
「うん」
「でも、それはなかったから。ここが今の自分だから」"
"「そういう人間にはさ、この世界を憎む権利っていうのがあって……」
「もう忘れたもん」
「忘れたって……」
「(遮って)でも亜乃音さんもそうだけど、青羽さんも持本さんもそうだけど、誰も誰か恨んだりなんかしてない。つらいからって、つらい人がつらい人傷付けるの、そんなの一番くだらない、馬鹿みたい、馬鹿だよ」"
