
roiban
@roiban
2025年5月6日

ナットとボルト 世界を変えた7つの小さな発明
ロマ・アグラワル,
牧尾晴喜
読み終わった
面白かった。エンジニアリングの基本的な構成要素として、釘・車輪・バネ・磁石・レンズ・ひも・ポンプの七つに着目。それぞれの発明、改良の歴史や、それらが利用されている工業製品について物語る。「釘」の章では金属加工の発展史からはじまり、大量生産技術、子孫とも言えるリベットやネジの誕生、タイトルにもなっている「ナットとボルト」から高層建築物が建てられるに至るまでが語られる。「車輪」の章では、「車輪の再発明」のたとえを引き合いに出しつつ、様々な用途での車輪の再発明がむしろエンジニアリング上の課題解決に繋がってきたのだと言う。著者はインドにルーツを持つ女性で、マイノリティの発明家達の業績に意識的に光が当てられている。食洗機を発明した女性エンジニアや、光学を研究したアラブの科学者など。また、建築系のエンジニアでもあり、「ばね」の章での防振装置の解説などにその見識が発揮されている。身近すぎて見落としがちな発明がどれだけ我々の生活を豊かにしてきたか、また、一見シンプルな発明がどれだけ困難なものか。生活の中に新しい視点を与えてくれる。
