
ユメ
@yumeticmode
2025年5月2日

アンの愛情
モンゴメリ,
村岡花子
読み終わった
感想
再読
念願叶ってレドモンド大学へ進学するアン。フィル、プリシラ、ステラとのパティの家での暮らしは、昔も今も私の憧れだ。こんな風に、素敵な家で、気が合うだけでなく互いを高め合うことができる仲間と共同生活を送れたらどんなにいいだろう。ジェムシーナ伯母さんというよき理解者に見守られ、暖炉の前で猫たちが丸くなり、故郷からの愉快な手紙が届き、勉学にも遊びにも励む娘たちの笑い声が響く小さな家を思い描くたび、私は微笑まずにはいられない。
モンゴメリは家や屋敷を描くのが本当に巧みで、アンシリーズにはグリンゲイブルスを筆頭に数多の魅力的な屋敷が登場するけれど、パティの家もそのひとつだ。百万長者が集まる住宅街に「建てられたのではなく生えている」小さな愛らしい木造の家の、なんと心をくすぐることだろう。アンたちが干していたリンド夫人に贈られた掛布団を、隣家のタバコ王が欲しがるささやかなエピソードも好き。
私はギルバートの一途さに好感を持っているので、ロイ・ガードナーの登場には何度読んでもやきもきさせられるし、この結末には毎度ホッと胸を撫で下ろす。アンがお伽話の王子様ではなく、共に笑い合える「あたしの生活に属している人」を選ぶところが好きなのだと思う。

