イナガキカズトシ "分身" 2025年5月11日

分身
分身
アントーニイ・ポゴレーリスキイ,
栗原成郎
読み終わった。毎夜分身さんが訪ねてきて、どちらかの創作話や聞いた話などをもとに議論する。時に小競り合いめくとこが面白い。議論の中心となる話が幽霊の話だったり、絶世の美女に恋焦がれて婚約まで辿り着いたら、人形でお腹から綿が出てきたり、魔女て呼ばれてる叔母さんの妖術に怯える話だったり、猿に育てられて人間界に戻ってきたけど、猿の母との愛情と人間側の猿への敵意に葛藤する話だったり、不思議めいていて幻想的な話が多い。しかも最初の方にした幽霊的な話に対して、今度からそんな有り得ない話になったらすぐやめましょうってなってたから、あっさり途中で止める話とかも出てくる。普通に気になる。あと、途中で人間の意識?思考?の話を円グラフみたいなのが使って長々と話し始めるとこも謎で面白い。 しかしながら一番面白いのは分身さんが何故出てきたのか、そしてどうしていなくなったのか、全然話題の中心にならず、当たり前のように分身がやってきて当たり前のように去っていくとこでしょう。今だったら普通に困る。早く寝かせてくれとかなりそう。 感覚的には後藤明生の「壁の中」の第二部、永井荷風の亡霊と偽地下室の住人のダイアローグの参考のされてるのかなあと思った。作品内には一切名前出てこないけど。ゴーゴリに連なる作家だし、後藤明生読んでてもおかしくないかなあと。
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