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イナガキカズトシ
@romantist721
  • 2025年8月17日
    死んでいない者
    読んだ。語り手の言葉が時に登場人物の声のように、時には死者のように、時に全て俯瞰して見ている者のように移ろいながら心地よく進んでいく。葬式に関係する親族たちのそれぞれの動きが、それぞれの思考が、葬式という非日常の中でさまざまな過去の記憶が綴られていきながら進行する。ここに来られなかった人たちもここにいるように感じ、時には死者とも会話し、死者と死者のかつての会話も繰り広げられる。不思議なことが起こっているようで起こっていない。現実に起こっていることなんだけど、温泉入りながら空中浮遊してたり、不可思議な出来事も起こっていながら起こっていない。 はっちゃんが故人と敦賀へ旅行したことを思い出しながら、故人とやり取りするシーンが好きだ。昔はすぐ口論になった仲なのに、いつからか口論になるのを踏みとどまるようになっていた。互いに結婚して子供もできた時期に何故二人で旅行に行ったのか、何をしに浜辺に行ったのか、はっちゃんは思い出せないでいる。このことに対して、誰だか分からない語り手が本当にそこには理由などなかったのかも知れず、幽霊みたいに浜に腰を下ろして波の音を聞いていただけなのかもしれない。と喋ったあと、そうだったらいい。と一言で締める。この、そうだったらいいって感じてる奴誰やねんなんだけど、本当にこのそうだったらいいには共感しかなく、この誰のものかもわからない願望に惹かれるのはなんでなんだろうか。多分、故人とはっちゃんの若い頃の二人が、浜辺でただただ波の音を聞いてる光景に憧れてる?理由も経緯も意図も全て取り去った二人の時間を感じられる気がする。そうだったらいい。本当。
  • 2025年8月17日
    空港にて
    空港にて
    めちゃくちゃ面白かった。村上龍全然読んだことなかったんだけど他も読みたくなった。一番最初の「コンビニにて」を読んだ時の衝撃。コンビニ内で起こる一瞬一瞬の出来事を、俯瞰的に綴りながら登場人物の語りと絡ませて進行していく。しかし時間が全然進んでいない!水滴で雑誌が濡れるとか、籠を肘に滑らせる様だとか、見落とすしかない些細な出来事を出来事として綴っている。同時並行でその場を共有する人物の超ミクロな出来事を、一瞬一瞬を積み上げていく。かっこいい。かっこいいよ龍さん!
  • 2025年8月4日
    ドラマトゥルギイ研究
    めちゃくちゃ面白いし分かりやすい。 イプセンやテネシーウィリアムスや戯曲の解説も面白いし、ドラマとはどう発生するか、ドラマツルギーとは何か、当時の劇作家はこれだけでも読んでてくれみたいな表もついてる。 斎藤憐の「劇作は愉し」にちょこちょこ出てくる本。斎藤憐が影響受けてるのがよくわかる!
  • 2025年8月3日
  • 2025年8月3日
    孔子・老子・釈迦「三聖会談」: 孔子・老子・釈迦
    老子と孔子と釈迦を時空の壁を越えて対談させる企画を通してそれぞれの考え方価値観をみていこうとする。開催者が気を遣ってて、場所選びから始まるのが面白い。富士山でしたいけど日本は遠いってので中国の山にしようとか、ちゃんと気遣いができる主催者で安堵してる。
  • 2025年7月26日
    崑崙奴
    崑崙奴
  • 2025年7月21日
    このあたりの人たち
    腹抱えて笑うわけでなく可笑しい。震え上がる怖さなどないけど怖い。普通にみんな暮らしてるのに変。みんな変だけど人間らしく、あり得ないことなんてないんだと感じる。 登場人物が紹介されて、その登場人物が別の物語で登場した時に、その登場人物の特性が維持されている時の嬉しさ。特にかなえちゃんのお姉さんが好きだった。かなえちゃんのお姉さんが初めて登場した時、語り手のわたしにかなえちゃんに内緒でひっそりと見せてくる箱に入った人形ののうみそ。少し汚れてるなど絶妙な質感を伴っていて怖かった。そして彼女のその後はイタコになったり、銀行主催の運動会でエアライフルの一位になったり、変な臭いものを山で拾って共に長い間生活したり、その変な臭いものが地球に衝突する隕石食い止めて銅像が建てられたり、とても素敵な一生を送ることになる。それを見てる私とは一体誰なんだ!
  • 2025年7月5日
    ストリンドベリ名作集
    自然主義的悲劇をと意気込んでいた時代の「令嬢ジェリー」を読み、巻末の「幽霊ソナタ」を読むとその落差に驚き果てる。幻の少女出てくるしミイラ出てくるし、物語は良くわからんし、仏陀仏陀言ってるし、めちゃくちゃに感じるけど面白かった。作家って後年になるとめちゃくちゃになってくのかね。
  • 2025年6月28日
    妹が死んだ時の海亀
    めちゃくちゃ面白い。 言語感覚がめっちゃ面白い。「はまっちゃいなよ」「触っちゃおうかしらねえ」と繰り返してる母と息子のやりとりが怖すぎた。表題作含め奇妙な言語感覚が炸裂してる。まだ読み始めたばかり。
  • 2025年6月28日
    カッパのカーティと祟りどもの愛 1
    バイトリーダーのトイレットペーパーとワサビとガリシーンで心奪われた。 おじいの遺言のアマソンの箱から接着剤出てきたり、出来事が面白いのに重要要素として転がっていく。怖くて面白い。
  • 2025年5月26日
    山頭火-風の中ゆく
    山頭火-風の中ゆく
    山頭火の捨ててゆく旅路。妻も子も捨て、坊主となって世間も捨てて、挙句の果てにその坊主も捨てて、風の中をゆく。常に辞世の句、酒が水になったような境地、山頭火の句がすこぶる良い。 「こおろぎになかれてばかり」「あるいは乞うことやめ山を観ている」「まつすぐな道でさびしい」「うしろすがたのしぐれてゆくか」 マジで俳句良い。うしろすがたのしぐれてゆくかに関しては極地至ってる。主観も客観も時雨と共にごちゃごちゃの、おぼろげに溶け合った私の後ろ姿を私が観ている。カッコ良い。
  • 2025年5月25日
    方法としての面接新訂
    序盤に夏目漱石の「彼岸過迄」の探偵属性を持った登場人物、敬太郎の説明で、傍観者に徹するだけでは本当の意味で観察者を分かることができない。本当に分かるとためには、傍観者の立場を越えなければならないと、敬太郎を反面教師として捉えなければならないとしてるところがまず面白い。分かる分からないの話。経験したことあることに関しては分かる。しかし経験したことがなくても分かると感じることがある。それはこれまでの経験したことに類似していると感じているため、経験していなくてもわかると感じることができる。しかしこの分かる、分からないはあくまでも日常的範囲での分かる分からないであって、精神面接の上では日常的意味を超えたものでなければならない。 というか分かるって思ってしまったら思考停止する。患者は問題を抱えて来てるわけであって、分かる分かる、神経症ね躁鬱病ねと診断をつけてレッテルを貼ってるだけでは問題の解消にならない。(もちろんそれも重要だけど)まず何が分からないかが分かることが重要で、分からないことを分かっていくプロセスの中で患者自身気づかなかったことに患者自身が分かることもある。 これはおそらく面接だけの問題ではなくて、演劇も文学もありとあらゆるものが「何が分からないか分かる」とこから始まっているんではないかと思うんですねえ。いま読んでる山﨑哲「俳優になる方法」に「表現とは転倒だ」って書いてて、分かるようで分からんのだが、「お前足が早くて良いよな」ってA君が言う時、A君の中に「自分は足遅くて嫌だ」という自分自身に対する違和や不満が転倒してそのセリフが出ている。それだけでなく、そう言うことで意識的にか無意識的にか自分を守っている。ってことがあるらしく、つまり表現とは転倒であるって見方で俳優はセリフを見ていかなければならないってことなんだけど、これ今なんの話なんだろう。
  • 2025年5月24日
    カッコよくなきゃ、ポエムじゃない! 萌える現代詩入門
    詩のことが全然分からないので助かりますわ。とりあえず小笠原鳥類の詩集を読み始めた。全然読めないけどかっこいい。
  • 2025年5月11日
    分身
    分身
    読み終わった。毎夜分身さんが訪ねてきて、どちらかの創作話や聞いた話などをもとに議論する。時に小競り合いめくとこが面白い。議論の中心となる話が幽霊の話だったり、絶世の美女に恋焦がれて婚約まで辿り着いたら、人形でお腹から綿が出てきたり、魔女て呼ばれてる叔母さんの妖術に怯える話だったり、猿に育てられて人間界に戻ってきたけど、猿の母との愛情と人間側の猿への敵意に葛藤する話だったり、不思議めいていて幻想的な話が多い。しかも最初の方にした幽霊的な話に対して、今度からそんな有り得ない話になったらすぐやめましょうってなってたから、あっさり途中で止める話とかも出てくる。普通に気になる。あと、途中で人間の意識?思考?の話を円グラフみたいなのが使って長々と話し始めるとこも謎で面白い。 しかしながら一番面白いのは分身さんが何故出てきたのか、そしてどうしていなくなったのか、全然話題の中心にならず、当たり前のように分身がやってきて当たり前のように去っていくとこでしょう。今だったら普通に困る。早く寝かせてくれとかなりそう。 感覚的には後藤明生の「壁の中」の第二部、永井荷風の亡霊と偽地下室の住人のダイアローグの参考のされてるのかなあと思った。作品内には一切名前出てこないけど。ゴーゴリに連なる作家だし、後藤明生読んでてもおかしくないかなあと。
  • 2025年5月3日
    分身
    分身
    分身さんが毎晩にやってきて、自作の創作や体験談や聞いた話などをもとに議論していくスタイル。でも時間になったらちゃんと帰るスタンス。分身さん、わきまえてらっしゃる!
  • 2025年5月3日
    野火
    野火
    死体を見た時に爪がすごく伸びてるのを発見し、死んでから伸びたものなのか、死ぬ前から伸びてたのか冷静に考えてたり、鶏の生態観察してたり、結構な状況なのに無意味な行為をしてしまうとこが人間っぽかった。 死んだら無になるって考えががひっくり返されていく流れだったり、途中から起こる見られている意識が誰に見られているのか、神だったり、罪の意識だったり、色々な要素が展開していてさすが名作。 人を食おうとする右手とそれを抑える自分の中で美しいと感じる左手。そういった分裂状態冷静に記述しているとこが面白かった。
  • 2025年4月26日
    BORN TO RUN 走るために生まれた
    BORN TO RUN 走るために生まれた
    読み終わった。 タラウマラ族と親交深いカバーヨブランコ(白馬)という謎の人物を追跡するところから始まり、タラウマラ族とプラハ(魔女)との壮絶なトレイルランニングに引き込まれ、高級靴を履くほど足が故障していく原理や経験など解説しながら、カバーヨブランコが計画する夢の計画(タラウマラ族とトレイルランニングの猛者どもの豪華競演レース)へと個性豊かなランナーたちが集合し、山道を何時間もかけて走る。ランナーたちそれぞれのドラマが昇華していき、最後に絶対勝てると思うなと言われていたくらいの主人公が12時間かけて走り終えた時、2位で6時間くらいで走り終えた伝説のランナースコットから遅すぎてすごいよと褒められた時号泣した。 競争は競争だけど、壮絶なトレイルランニングを走り終えた奴らはみんなすごい。遅くてもそれだけ走れたことがすごい。走るはアートだ。人間は走るべくした身体になっている。走りてえ!
  • 2025年4月13日
    BORN TO RUN 走るために生まれた
    BORN TO RUN 走るために生まれた
    病院の先生に教えられ読み始める タラウマラ族のありえない生態に浪漫感じまくり。 レースが始まったら何百キロ走り続けるとか、一滴で何日も過ごせるパワーフードとか、誰にも見つからないように奥地に隠れてる生態とか、ビール飲みまくってるのに翌日ストレッチもせずに何キロも走り始めるとか。 戦争が起こさないためにタラウマラ族は走り続けた。どんな場所にでも移動しながら生活できる知恵があって、定住し始めた途端逃げられなくなる。手放せなくなる。土地の因縁からもすぐ逃げ出せるタラウマラ族の賢さすごい。 まだ序盤だけど。
  • 2025年4月13日
    カラマーゾフの兄弟 上
    カラマーゾフの兄弟 上
    めっちゃ甘いラブシーンの後にグルーシェンカがカテリーナに対して両眼を針で突き刺してやるとか言ってて笑った。 ミーチャの父親殺し?金盗み?の後にグルーシェンカとかと酒場で盛り上がるシーンで一気に知らん名前出てきて、読むスピードダダ下がりしたけど、酒場のシーンで最高に面白かったのはマクシーモフってやつが彼独特の踊りを見せるシーンで、ただ跳ねたり、飛んだり、足の先を蹴り上げたりで、蹴り上げる時に足の裏を掌で叩くらしい。
  • 2025年3月19日
    カラマーゾフの兄弟 上
    カラマーゾフの兄弟 上
    ゾシマ長老から腐敗臭が漂うってのがめちゃくちゃ重要なことのように展開していて、確かに重要なのかもしれないけど、そんな展開のさせ方があるのかとずっと驚いている。
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