夏至
@pixied8
2025年5月11日

読み終わった
@ 公園
地元の公園でピクニックをしながら読了。5月は日向にずっといるには暑く、日陰にずっといるには寒い。冷えた体とアイスラテをがぶ飲みした後の膀胱に気を取られ、ちょっと集中力が欠けたまま読み終わった。
台北行く前に読めて良かった。翻訳文学試食会も聞いてなるほどと思ったのだが、読後感が村上春樹に似ている。あの作家も私は長編が苦手で読み切れたことがないのだけれど、最近の短編を読むとところどころスッと体の中に落ちてくる。本作の訳者あとがきで書かれていた紹介コードネーム「三丁目のマジックリアリズム」のマジックリアリズムという言葉も合わさって、なるほど私がちょっと苦手なやつ、でも苦手な理由さえ分かって心構えして読めば好きなところだけが浮かび上がるように見えてくる。
誰もが持っている、子供の頃の記憶、当時不思議に感じていた体験と結びついて本作はヒットしたのだろうか。
私が好きなのは「光は流れる水のように」最近、大学時代の通学経路の乗り換え駅を使ったら、結構変わっていて、毎日見ていたのに何がどう変わったのか分からなかった。カメラを新調したのでどんな街でもなんてことない風景でも写真で残すことの意義があると思い始めたところだったので、すごく作品と気持ちがマッチした。私にも模型を作るような才能があれば良いのだけれど。そして小さな記憶を誰かと共有できていた、確かにあったと感じられることの喜びがこの作品にはあった。
商場が見たくて調べていたらGF*BFの監督がNetflixで本作をドラマ化してるらしいが日本では公開されていないらしい。どうにかしていつか観たい。そして最後のエッセイのような短編で『恋恋風靡』に商場が舞台の一部だったことを知り、見直してみたくなった。日本でいうところの昭和時代は歴史であると同時に映像が残っていて確実に今と繋がっていると感じられるから好きだ。

